1960年代半ば、ポーランド映画界の“新しい波”を代表する若手監督として躍り出たイエジー・スコリモフスキは、戦後世代の声を代弁する私小説的な 題材選びと奇抜な視覚的アイディアに満ちた画面作りで、一躍国際的な注目を浴びます。
しかしソ連の衛星国の一つであった冷戦時代のポーランドにおいて、反体制的姿勢をほのめかす挑発的なスコリモフスキの作品は問題視され、 それを不服とした作家は祖国を離れることを決意しました。西側各国を渡り歩いて映画製作を続ける、苦難に満ちた人生のはじまりです。 今回の特集上映では、この「亡命」直前から祖国への回帰へと至る43年間にスコリモフスキが発表した作品五本をセレクトしてお届けします。
約半世紀にわたるスコリモフスキの流浪生活から生まれた作品たちは、舞台となる土地も出演者の国籍もそれぞれに違い、かつ内容的にも多様な主題を扱っています。 けれども続けてこの五作品を観てみれば、時代と国籍の違いを超えて、そこにひとりの卓越した映画作家の特異な人生の軌跡と、 多彩な作風に内在する一貫した個性的映画作法を見出すことができるでしょう。